step01 開業準備

事業をスタートするにあたって、必要な届出は?事業形態をどうするか?法人形態にした場合は法人設立の手続きも必要です。
また、事業運営のための人の確保も大切なことです。

  1.事業形態の選択 −法人設立の概要−
I 個人事業にしますか?法人事業(会社)にしますか
 事業は個人でも、会社を設立して営むこともできます。どちらがいいとは一概にはいえませんが、事業の内容や規模などを加味して決めるといいでしょう。
 たとえば、個人事業の場合は資本金が不要で設立が容易、経理の手間が簡単などのメリットがあります。個人の能力や専門性で勝負する、小規模で始めたいというのであれば、あえて会社を設立する必要はないかもしれません。
 これに対して法人事業は、経営上の手続きが煩雑になる反面、なんといっても社会的信用度の面で有利。ですから、ある程度大規模な事業を始める場合は、会社を設立した方がよいでしょう。業務内容によっては、取引上法人格が必要な場合もあります。さらに、会社組織にすることで必要経費が認められるなどの税金面や、社会保険に加入できる、資金調達がしやすい、金融機関からの融資が受けやすいといった利点もあります。
 今は大きな会社でも、設立当初は個人事業だったところは少なくありません。初めは個人事業で開業し、事業を発展させていく過程で法人化していくのも堅実なやり方です。
  個人事業 法人事業
開業の手続き 簡単で費用もかからない 提出書類が多く、やや煩雑。
設立費用が必要
最低資本金 不要 有限会社300万円
株式会社1,000万円
取引上の信用 やや不利 有利な場合が多い
経営責任 個人が全責任を負う 法人が責任を負う
経理の手間 青色申告でも簡易帳簿の記載でよく、決算時に損益計算書を作成すればよい 複式簿記による記帳が必要。決算時には最低でも損益計算書と貸借対照表を作成する
税金 白色申告の場合、経費に計上できる専従者の給与に上限あり。必要経費は認められにくい 投資の報酬、退職金など、一定の範囲内なら経費に計上できる。必要経費が認められやすい

II 有限会社にしますか?株式会社にしますか?
 会社の種類には、株式会社、有限会社、合資会社、合名会社の4つがありますが、現在では株式会社か有限会社を選ぶのが普通です。では、両者はどんな点で違いがあるのでしょうか。
 有限会社の一番のメリットは、比較的簡単に、小資本で設立できること。設立総会を開催しなくてもよい、取締役会がなくてもよい、決算を公表する必要がないなど、運営も比較的楽です。
 一方、株式会社は設立や運営に煩わしさはあるものの、信用度が高く、第三者から広く資金を集めることができるなど、規模の大きな事業を行う際に向いています。つまり、手間を省いて小資本で開業したいなら有限会社、事業の拡大を目指すなら株式会社が適しているといえます。
 もちろん、有限会社でスタートし、会社の規模がある程度大きくなった時点で株式会社に組織変更するという選択も可能です。

有限会社と株式会社の比較

<設立時>
  有限会社 株式会社
最低資本金 300万円 1,000万円
出資者の種類・人数 社員1人以上50人以下 株主1人以上
出資単位 1口5万円以上 1株5万円以上
株券の発行 できない できる
取締役 1人以上 3人以上
代表取締役 設けなくても可 1人以上
監査役 設けなくても可 1人以上
創立総会 開催しなくてもよい 開催しなければならない

<運営時>
  有限会社 株式会社
出資者の責任 出資額内 株式の引受価額内
最高決議機関 社員総会(書面でも可) 株主総会
出資分の譲渡 社員間は自由。
社員以外へは総会の承認
が必要
原則自由
役員の任期 制限なし 取締役2年、監査役3年
決算の公告 必要ない 決算期ごとに必要
組織変更 株式会社に変更可 有限会社に変更可

III 会社設立手続きのあらまし
 会社設立手続きに要する期間は1カ月程度。自分ですることも、司法書士などの専門家に依頼することもできます。どちらの場合も、次のような項目はあらかじめ決めておきます。
(1) 商号
いわゆる会社の名前のこと。同一市町村内に同じ事業内容の、同一または似た名前の会社があれば登記できないので、事前に法務局でチェックしましょう。アルファベットは使えないなど、商号選択上の制限にも注意が必要です。
(2) 事業の目的
事業の目的は具体的に表記します。また定款に記載されていない業務を行う時は変更手続きが必要になるので、将来始める可能性のある事業があれば、付け加えておきます。
(3) 本店の住所
事業拠点の所在地。
(4) 出資者名・出資金額
登記の際には、出資者の印鑑証明も必要になります。
(5) 資本金
有限会社は300万円以上、株式会社は1,000万円以上。
(6) 営業年度
営業年度を決めます。
(7) 役員
有限会社は1人でも可。株式会社は取締役3人以上、監査役1人以上。

株式会社・有限会社のつくり方
1.設立準備 会社名、事業目的、所在地、代表者などを決める。
2.商号の確認 設立予定地の登記所で類似の称号がないかを確認する。
3.会社の実印作成など 実印は登録し、印鑑証明をとっておく。出資者の印鑑証明も合わせて用意する。
4.定款の作成 商号や本店所在地、会社の組織、出資者などを記入する。
5.定款の認証 定款3通、社員の印鑑証明、収入印紙を提出して公証人の承認を受ける。
6.株式申込・払込 必要書類を添えて株式(出資金)を払い込み、金融機関から株式(出資)払込金保管証明書を発行してもらう。
(有限会社は出資金の払込)
7.創立総会の開催 有限会社なら書面会議で済ませることも可。株式会社はさらに取締役会も開催。
8.設立登記の申請 設立登記申請書を作成。設立登記申請書、定款、株式(出資)払込金保管証明書などを登記所に提出する。
登記申請が受理されれば、登記は完了。

  2.開業に必要な届出
I 開業時に必要な届出は?
 開業後、事業開始を税務関係機関に、雇用従業員がいれば、雇用関係、社会保険関係の届出が必要です。許認可が必要な業種は、そのための届出が必要です。

 創業の届出には
1.税務・労働保険・社会保険の届出
2.創業する業種によって必要となる許認可の届出があります。

税務署など官公庁への届出
1.会社設立後に必要な手続
  (1)税務署
ア)法人設立届出書・・・ すべての法人が設立後2ヶ月以内
    イ)棚卸資産の評価方法の届出書・・・ 最初の事業年度の確定申告提出まで
    ウ)減価償却資産の償却方法の届出書・・・ 〃
    エ)給与支払事務所等の開設届出書・・・ 給与支払日から1ヶ月以内
    オ)青色申告の承認申請書
  (2)県・市町村
    ア)事業開始等申告書
    イ)法人設立申告書
  (3)労働基準監督署
    ア)適用事業報告・・・ 従業員を雇用してから10日以内
    イ)就業規則届、就業規則及び意見書・・・ 従業員10名以上の場合
    ウ)労働保険保険関係成立届・・・ 保険関係が成立した日から10日以内
  (4)公共職業安定所
    雇用保険適用事業所設置届及び雇用保険被保険者資格取得届
  (5)社会保険事務所
    ア)健康保険・厚生年金新規適用事業所現況書
    イ)健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届
    ウ)被扶養者届
2.個人事業に必要な届出
  (1)個人事業を始めるすべての事業主
    ア)個人事業の開業届出書・・・ 税務署 開業の日から1ヶ月以内
    イ)個人事業開始申告書・・・ 県税事務所 開業後すみやかに
    ウ)棚卸資産の評価計画・原価償却資産の償却計画の届出書・・・ 税務署
  (2)青色申告を希望する事業主
    ア)所得税の青色申告承認申請書・・・ 税務署 3月15日まで(1月16日以降事業を開始した場合には2ヶ月以内)
    イ)青色専従者給与に関する届出書・・・ 税務署 青色専従者給与の支払いをする月
  (3)従業員に給与を支払う事業主
    ア)給与支払事務所等の開設届出書・・・ 税務署 1ヶ月以内
    イ)源泉所得の納期の特例の承認に関する申請書・・・ 税務署

許認可の取得
選んだ業種は許認可が必要か確認する必要があります。周辺の環境や他の店などへの影響も考えられ、細かく基準が設けられています。
    (1)「届出」(許認可)を出すだけでよい業種
  (2)「認可」申請が必要な業種
    (3)「免許」が必要な業種

許認可が必要となるおもな業種
  業種 必要な許認可・届出の種類 窓口
許認可 ガソリンスタンド 揮発油販売業登録 消防署
貸金業 貸金業登録 財務省または都道府県
旅行業 旅行業登録 国土交通省または都道府県
電気事業 電気工事登録 都道府県または経済産業省
建設業 建築物環境衛生一般管理業登録 都道府県
理(美)容業 理(美)容所開設届 免許を受けた都道府県
クリーニング業 クリーニング所開設届 クリーニング師資格合格地の都道府県
許可 たばこ屋 小売販売業許可 日本たばこ産業(株)を経由して財務省
運送業 一般貨物自動車運送事業経営許可 国土交通省陸運支局
ホテル旅館 旅館業営業許可 都道府県または指定都市の保健所
風呂屋 公衆浴場経営許可 都道府県または指定都市の保健所
飲食店 食品営業許可 保健所
薬局 薬局開業許可 都道府県
廃棄物処理業 一般廃棄物処分業許可 都道府県
一般廃棄物収集運搬業許可
建設業 建設業許可 都道府県または経由して国土交通省
質屋 質屋許可 警察署
リサイクル店 古物商許可 警察署
古本 骨董屋
キャバレー 風俗業許可 警察署
人材派遣 一般労働者派遣業許可 公共職業安定所
免許 酒屋 酒類販売業免許 税務署
不動産業 宅地建物取引業免許 都道府県または経由して国土交通省

  3.従業員の採用
 開業にあたって、最大の難関の一つが労働力の確保です。人件費は営業経費の中で最も高い割合を占めます。経営者、家族従業員だけで対応できない場合のみ、従業員を雇用する慎重さが必要です。
 また、パート、アルバイトの活用が出来ないかについてもも検討する事が必要です。しかし、パート、アルバイトも簡単に辞めさせられるという認識は間違いです。一般の従業員と同じく労働基準法、最低賃金法、労働安全法、労災保険法等の規定が適用されます。
従業員の募集には、
a)縁故
b)求人情報誌、新聞広告
c)地域ミニコミ誌の求人広告
d)新聞折込チラシ
e)店頭ポスター、チラシ
f)紹介、口コミ
g)職業安定所、人材銀行などの利用

があります。それぞれ、費用、手間、時間、効果が違います。

従業員採用のポイントは、

a)経営の考え方を説明する。
b)勤務条件(勤務地、仕事の内容、給料、雇用期間、勤務時間、休憩時間、休日、休暇など)を説明する。
c)仕事への意欲・やる気があるか、努力タイプかを見る。
d)言葉使い、身だしなみを見る。
e)従業員にやりがい、働きがいをもたせる経営者の姿勢を理解させる。

 などです。
 外国人を採用する際は、不法就労者でないことを確認しておきましょう。

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