●●岩国商工会議所主要プロジェクトの動き

T.岩国基地沖合移設
U.愛宕山地域開発事業
V.岩国空港早期再開(山口県東部空港建設)構想
W.岩国駅前地区再開発といわくにファッションタウン構想
X.岩国21世紀プロジェクト

 

T.岩国基地沖合移設

1.地  域 米軍岩国基地飛行場の東側の海面埋立てにより、 滑走路を1,000m沖合に移設。
2.事業主体 防衛施設庁
3.期  間 平成9年6月1日 (着工) 〜平成17年度 (約10年間) 予定
4.目  的 岩国基地の離着陸コースの下には、 石油化学、 化学繊維、 製紙など大規模な工場群と密集した人家があるため、 航空機墜落の危機と騒音公害の除去をねらっている。
5.規  模 埋立面積 約215ha
6.事業費 約1,600億円
7.経過、 進捗状況 昭和43年6月 岩国市議会が沖合移設を決議 (同46年10月、 同51年12月にも決議)
〃 49年 3月 山口県議会が沖合移設に関する要望を決議
〃 48年度〜56年度 防衛施設庁が諸調査を実施
〃 57年 7月 防衛施設中央審議会に諮問、 東側海面を埋立て、 滑走路の約1,000m沖出が適当と答申
〃 58年度〜60年 環境影響評価による基礎調査、 地元漁協と補償交渉
昭和62年2月岩国市漁業組合が試験埋立てに同意。 同62〜63年度までに一辺41mの八角形 (約7千u) の埋立て地を造成し、 地盤沈下等についてデータを収集。 岩国市が昭和 63年度予算のうち調査費として100万円を計上。 また、 平成元年度予算に基本設計費2億5千8百万円、 平成2年度に環境影響調査費2億5千万円、 平成3年度約3億4千3百万円が計上され、 平成4年度までにA案 (沖合千mへ滑走路を平行に移設、 建設費約2千億円) とB案 (現滑走路に交差する形で新滑走路を建設、 東側一部を埋立て、 建設費約5百億円) 両案の基本設計と環境影響調査を実施することとなった。
防衛施設庁は、 平成元年度、 A・B両案に係る基本設計を作成し、 平成2年度から3年度にかけて、 基本設計に基づく環境影響調査を実施、 平成4年度には、 環境影響調査の残りとこれまでの調査の取りまとめ作業を行い、 同年度のできるだけ早い時期に方針を決定することとし、 平成4年8月、 岩国飛行場における運用上、 安全上及び騒音上の問題を解決するため、 滑走路を東側へ1,000m程度移設する事業 (A案) を推進することを決めた。
平成5年度〜7年度 滑走路を東側 (沖合) ヘ1,000m移設する事業を推進
平成8年度       仮設工事、 護岸工事、 地盤改良工事および実施設計に要する経費約104億円が計上。
平成9年度〜      護岸工事、 岸壁工事、 地盤改良工事、 埋立工事等及び実施設計に要する経費約225億円が認められると共に着工元年を迎える事となった。
延べ陳情要望件数 73件


岩国飛行場完成予想図


 

U.愛宕山地域開発事業

1.地  域 岩国市愛宕山地域
2.事業主体 山口県、 岩国市、 山口県住宅供給公社等
3.期  間 平成4年度〜
4.目  的 岩国基地沖合移設事業の実施を契機として、 岩国市内愛宕山地域を開発 (開発残土を埋立土として売却) し、 次により県東部地域の振興発展を図る。
  1. 大規模住宅団地を整備し広島都市圏からの人口流入並びに圏域人口の定着化を図ることによる人口定住促進
  2. 運動公園や健康・福祉関係施設等広域的利用施設の整備による圏域住民の福祉の向上
  3. 岩国市の市街地の一体化・連担化を図り、 県東部地域をリードする都市にふさわしい街づくり
 
5.規  模 約150ha 
6.事業費 未  定 
7.経過、 進捗状況 平成4年度 開発適地調査、 基本構想策定
(今後の予定等)   〃 5年 9月 調査結果を踏まえ 「開発地を愛宕山地域にする」 旨、 岩国市議会に報告し了承された。
〃 5年度 基本計画
〃 5年度〜6年度 基本調査、 基本設計
〃 6年度〜7年度 環境影響評価、 実施設計
〃 6年度〜12年度 用地買収
〃 9年度〜15年度 土取工事、 土砂搬出
〃 12年度〜18年度 造成工事
〃 15年度〜20年度 造成地処分


宕山地域開発事業計画図


 

V.岩国空港早期再開(山口県東部空港建設)構想

1.地  域 岩国地域 
2.目  的  岩国市をはじめとする山口県東部地域が山口県唯一の空港である山口宇部空港にも、又隣接の新広島空港にもそれぞれ距離的にも遠く利用が困難であり、100km圏内に空港を有しない空の空白地帯となり今後21世紀に向けての社会的・経済的各般に亘りその発展に重大な支障を生じることとなるため、山口県東部地域に空港の建設を推進し、もってその発展を図る事を目的とする。
 山口県東部空港岩国地域誘致推進協議会を平成6年7月1日設立以来、街頭PR・講演会等を開催、各方面への広報啓蒙活動を展開してきたが、平成10年4月30日の記者会見で山口県知事より「山口県東部空港の設置箇所を決定して構想を推進していくのは困難であり、空港整備計画への組入を前提とした県東部空港構想は当面凍結せざるをえない。岩国基地の民間活用の可能性については、この構想とは切り離して検討していきたい」との発表がなされた。
 米軍岩国基地空港は昭和27年より昭和39年まで民間空港として使用され、又広島空港の代替空港として指定された実績もあり、山口県東部空港の凍結より「山口県東部空港岩国地域誘致推進協議会」は将来に備えて存続するが活動は停止し、新たに「岩国空港早期再開推進協議会」を設立し、官民一体となって早期再開を強力に推進する。
  1. 岩国空港早期再開推進の強力な運動の展開
  2. 山口県東部並びに広島県西部地域の住民・各機関・その他各方面へのPR
  3. 及び啓蒙活動の展開
  4. 岩国空港早期再開の建議・陳情等意見活動の展開
  5. その他本協議会の目的達成に必要な事業
 
3.経過、 進捗状況 平成元年12月 山口県議会において山口県知事より 「県内に空港が2つあってもおかしくない」 との発言を受けて、 山口県議会に 「空港等高速交通網調査特別委員会」 を設置。
 〃 2年9月 岩国商工会議所が 「第2空港建設問題協議会」 を開催。
 〃   12月 岩国市議会 「民間空港建設に関する意見書」 を可決 「米海兵隊岩国基地の民間利用」 を求める。
 〃 3年3月 山口県が県東部の気象、 地形、 土地条件や騒音等環境調査開始。
 〃 6年7月 山口県東部空港岩国地域誘致推進協議会 (会長 柏原伸二会頭) を設立。
 〃 10年7月 岩国空港早期再開推進協議会 (会長 柏原伸二会頭) を設立。


山口県東部空港問題専門委員会の中間報告



平成9年2月25日 


 山口県知事 二 井 関 成 殿 山口県東部空港問題専門委員会
委員長  岡 田  清


山口県の東部地域における新空港の候補地について

(中間報告)


当委員会は、 山口県からの要請に基づき、 平成6年3月から6回にわたり、 県東部地域における新空港立地の可能性について、 鋭意審議を進めてきましたが、 現段階での候補地について、 別紙のとおり中間報告します。


山口県の東部地域における新空港の候補地について (中間報告)



1.山口県の東部地域における新空港の設置については、 新たに空港を建設するケースと、 岩国基地飛行場の民間活用を図るケースの二つのケースが考えられることから、 県の実施した各種の調査結果に基づき、 それぞれのケースについて検討した結果、 以下の通り、 3地点を候補地として選出した。
新空港を建設するケース
 県東部地域で、 中型ジェット機の就航が可能な、 滑走路長さ 2,000メートル、 着陸帯幅300メートル規模の空港が建設可能と推測される18地点について検討し、 空港立地条件が比較的有利と認められる5地点 (「三井」、 「田尻山」、 「西光寺山」、 「琴石山」、 「峯山」) を選定して、 審議の対象とした。 これらの地点について、 建設条件、 運航条件、 社会環境条件及び社会経済条件を詳細に比較検討した結果、 「三井」 (下松市・光市・熊毛町境) 及び 「田尻山」 (周東町) の2地点を新空港候補地として選出したが、 それぞれに大きな課題を抱えている。

岩国基地の民間活用を図るケース

 現滑走路については、 滑走路北側に工場群の煙突が林立しており、 現状のままでは、 航空法に定める制限表面 (北側進入表面) が確保できないことなど、 民間定期路線の運航上、 安全面での問題があるとともに、 基地周辺においては、 航空機の騒音問題も日常生活上の障害になっている。 現在、 岩国基地においては、 基地滑走路の沖合移設が進められており、 移設後の新滑走路であれば、 現滑走路の有する安全面及び騒音面での問題点が解消若しくは緩和されるが、 岩国基地の民間活用については、 日米合同委員会の合意を要するという大きな課題がある。

2.今後、 当委員会において、 現地調査を実旋するなどして、 3地点を総合的に比較検討し、 最終適地の選定を行うこととする。

 



 

W.岩国駅前地区再開発といわくにファッションタウン構想

1.経  過

昭和47年 岩国民衆駅推進特別委員会設置 (会議所役議員で構成)
昭和48年 岩国民衆駅建設期成同盟会設立 昭和47年設置の岩国民衆駅推進特別委員会は会議所役議員を中心とした構成により推進してきたが、 民衆駅建設機運も本格化してきたので、 広く各層に協力・支援を願い、 更に強力に推進するため期成同盟会を設立した。
昭和53年 岩国駅前交通施設整備計画案 (三井建設株式会社)
昭和54年 岩国駅前地区総合開発計画 (岩国市)
昭和57年  岩国駅舎改築促進委員会設置 (会議所役議員で構成)
昭和58年  岩国市商業ビジョン 「岩国市商業の課題と構想」 策定事業の実施
昭和59年  岩国駅駅ビル建設の基礎調査 (長銀経営研究所)
昭和61年 岩国駅再開発計画案 (建築を語る集い)
昭和63年 岩国駅舎改築促進委員会で、 橋上駅と結論
平成4年 岩国駅前地区再開発推進協議会の統合・再編成 岩国駅建設期成同盟会・岩国駅前総合ビル建設期成同盟会及び岩国駅前地区再開発推進協議会を統合・再編成し、 「岩国駅前地区再開発推進協議会」 として再出発した。
平成7年度  地域振興支援事業 「明日に向かって、 明日を信じて」 (会議所) 実施
  〃 岩国地域振興計画調査報告書 (財団法人中国産業活性化センター)“いわくにファッションタウン構想”作成
平成8年度  岩国駅舎改築・駅前広場整備計画書“岩国ミュージアム・ステーション計画”作成


2.コンセプト

1.

新しい生活文化の拠点と街の賑わいの創出 〜ファッション・テクノ・プレイス+生活提案型商店街〜

2.

地域の歴史と文化の美的再発見
〜歴史文化ストーリーの発掘+いわくに歴史の径+新・観光資源の開発〜

3.

魅力的生活圏の形成
〜新・生活文化ハウジング・エリア+ゆとりと交流交通ネットワーク〜

4.

地域創造型イベントの開催
〜ファッションタウン・ネットワーク・フェスティバル〜

5.

美しい街づくり運動の推進
〜市民の共感と参加和の輪を拡げる運動〜

3.岩国の将来都市構造の概念


4.岩国駅街区商店街の活性化の方向性(岩国駅前地域整備方針図)
  1. 広域市町村圏の商業・業務拠点地域としての機能充実
  2. 個店の活性化とともに商店街全体の業種構成と核店舗への取り組み

地域商業環境分析より、 地理的条件として山口県の東玄関、 交通条件としても山陽自動車道のインターチェンジ、 山陽新幹線の駅を持つ街として実質的にも広域的な周辺市町村圏を含めた拠点地域としての機能を持っている。 しかし、 当インターチェンジ、 新幹線駅の利用者数はどちらも減少傾向にあり、 岩国市の人口の伸びも停滞傾向、 小売吸引力も微減傾向となっており、 岩国市全体の求心性は薄れつつある。 大型店の動向として、 駅前にイズミ駅前店、 フジグラン岩国、 市の南にゆめタウン南岩国を中心とした商業集積が形成されている。 また北に隣接する大竹市にゆめタウン大竹の出店予定がある。 駅前本通商店街については、 買回品主体の広域型商店街であるもののファッション性と休憩機能を含めた潤い性に欠けている。 また、 中通商店街については飲食店、 パチンコ店が多く、 業種構成面の課題となっている。 来街者意識調査から、 来街者の満足度は全体的に低く特に 「レジャー施設」 「駐車場・駐輪場」 で不満度が高い。 欲しい店は 「デパート」 が5割強、 欲しい施設は 「駐車場」 4割強となっている。 事業主意識調査から、 従業員3人以下・売上高5千万円以下のお店が共に約4割を占めており、 約6割以上のお店で売上高は減少している。 商店街の活性化策として必要度が高いものは 「ニチイ跡地早期利用」 「総合庁舎移転対策」 となっており、 その対策は 「大型商業施設」 とするお店が7割以上と圧倒的に多くなっている。 広島在住者グループインタビューでは、 駅前地区のイメージとして 「若い人がくる商店街ではない」 「活気がない」 という意見が多く出た。 跡地と移転対策は 「大型商業施設」 という意見でまとまった。 また、 駅や商店街、 既存大型店、 パチンコ店など含めてイメージを一新し、 街としての魅力を出すべきであるという結論となった。

これらの調査から導かれる課題として、


  1. 快適な街づくり機能の充実
  2. 業種構成の充実
  3. 強力な組織づくり、 といった事があげられる。

その具体的な対応策として、

  1. 駐車場の設置、 休憩施設の設置
  2. 複合型商業施設への取り組み
  3. 不足業種の誘致
  4. 消費者サービスシステムの構築、 といった事があげられる。

5.岩国駅舎改築・駅前広場整備計画(俯瞰イメージ・スケッチ)

駅 舎

現在の駅舎の位置に、 岩国の顔となり岩国の玄関に相応しいレトロな雰囲気を持った駅舎を計画する。 中央部は吹抜とし、 3層の空間に視覚的・機能的連続性を持たせ、 使いやすく魅力あふれる駅舎とする。 吹抜部には、 高齢者・身障者に対応できるよう、 エレベーター・エスカレーターを配置する。

地下

改札広場・コンコース・発券所・駅務室を配し、 星の広場に面すると共に自由通路を介し、 水の広場・風の広場へと誘導する。

1階

コンコース・待ち合い・みどりの窓ロ・駅務室を配し、 売店・レストラン・喫茶が各コーナーに設けられ、 南西のバスターミナル、 北の送迎用車寄せ、 北西のタクシー乗り場への接続に供される。

2階

一部駅務室に利用する他は、 多目的に利用できるマルチホールと観光・イベント情報、 まちの話題やトピックスの紹介、 そして交通・旅行情報などに利用される観光・情報ブースが配置される。
駅前広場

狭い敷地の有効利用を計り、 歩車道分離の徹底と商店街の連結性を求め、 そして市民の憩いの広場を創設することを目的に、 明るく魅力ある演出された地下空間の利用を計画する。

地下

人のアクセス空間として計画し、 中央に滝や池、 そして小川の流れる水の広場を配置する。 この水の広場は動の広場として天空が開放され、 明るく活動的な空間で、 イベント広場としても利用できる。 そして、 その西側には大きな樹木の生い茂る森の広場が配置される。 森の広場は静の広場として落着いた心安まる雰囲気の広場で、 市民の憩いの場として、 待ち合わせの場として利用される。 又、 2つの広場周辺には店舗用テナントスペースが設けられ、 商店街との連続性を高め、 駅と商店街との融合に役立てる。

1階

国道188号線及び中央通りとの交差点改良により、 車輌の秩序ある交通整理を行なうと共に、 駅前広場には南側にバスターミナル、 北側にタクシー乗り場を配置する。 市民駐車場及び送迎用一般車輌の出入口は、 錦水ホテル北側JR用地を利用し、 駅前広場の一般車輌通過を極力少なくすることにより、 混雑の解消を行なう。
自由通路 (フリープロムナード)

駅前広場と東地区とを結ぶ広くて明るい地下の自由通路を設け、 東地区との連結性を高める。 自由通路の中程には改札口を設け、 その正面に星の広場を配置する。 星の広場は、 結接の広場として駅利用者の混雑を解消し、 広々としたゆとりのある空間に構成する。 又、 東地区出口には風の広場を配置し、 緑あふれる庭園とスロープ・エスカレーター等が配置され、 東地区からの導入の広場として整備される。 将来、 岩国空港が再開されることとなれば、 この周辺が開発整備され、 空港への玄関となり、 その場合の結接スぺースとしても利用される。 自由通路には水の広場より風の広場まで動く歩道が設備され、 長い道程の苦痛を和らげると共に、 壁面を市民ギャラリーとして利用し市民の心や体の疲れを癒し、 そして情報発信のスペースとして活用する。
立体駐車場

駅舎北側のJR用地を利用し、 立体駐車場を計画する。 1階は駅前広場へのアクセスと共に、 送迎用駐車場 (約26台) に利用し、 2階はJR職員駐車場 (約30台) とする。 3階より上階を市民駐車場 (約350台) に開放し、 駅前地区・駅前商店街への集客機能向上、 そして地域の活性化に貢献する。
駐 輪 場

駅北西地区・東地区を対象に駐輪場の整備を行なう。 北西地区については、 駅舎北側立体駐車場の地下を利用し、 約300台の駐輪場を設け、 東地区については、 風の広場に約200台の駐輪場を設ける。 又、 現存地下道は拡幅改良を行ない、 自転車道として利用し、 駐輪場近くには自転車用スロープも配置する。
バスターミナル

駅前広場1階の南側に配置し、 3レーン9台のバスストップをまとめて計画し、市営バス・JRバス・防長バス・広電バスの発着場として利用する。 又、将来の民間空港再開に向けて、風の広場周辺が空港の玄関として開発整備されるまでの短期的処置として、リムジンバスの利用にも供される。
結 び

社会・都市構造の変化が進む現在、 商業地区に対し時代が求めるものは、 快適で利便性に富み楽しみながら買物ができ、 そして個性とアイデンティティを備え、 賑やかな明るい商店街と共に自由時間が有効に活用でき生活にゆとりと潤いが高められ、 多様化する市民生活のニーズに充分応えられる魅力ある空間を持った街の双方が併合された、 “遊び・学び・集うことのできる街”そして“日常生活が共に送れる街”への街づくりである。 岩国駅前商業地区についても、 これらの街づくりが強く求められており、 市民も期待しているところである。 岩国駅前商業地区が、 従来より持ち続けている都市に於ける立地の優位性が薄れ失われる前に、 早急に詳細な計画が立案され時代のニーズに促した、 そして消費者ニーズに合致した岩国広域市町村圏の商業の中心拠点に相応しい街づくりの整備が、 推進されていくことを強く望む。 又、 この推進に当っては、 立案された詳細な計画に基づくトータルプランニングにより、 一つのプログラムに添って統一された街づくりとなるよう実現される必要がある。 そして、 岩国駅前商業地区には事業者それぞれ個人の意識改革を基に、 一致団結した組織づくりと組織強化が求められており、 行政・会議所との連携をより親密にし、 官民一帯となった協議の場づくりが行なわれ、 より具体的な問題への取組みが待たれるところである。


 

X.岩国21世紀プロジェクト


 米軍岩国基地を抱える岩国市は戦後、 基地との共存を強いられ、 市民は常に航空機の墜落の危険性と騒音公害にさいなまれてきた。 また、 基地滑走路の延長線上にある臨海工業地帯は上空制限など大きな制約を受け、 経済発展を阻害されてきた。 基地の存在によって地域が被った民生、 経済両面の損失は莫大なものになる。
 この逸失利益を回復し、 地域の発展と国の利益をもたらす妙策はないものか。 私は、 およそ30年間にわたって次の構想を練ってきた。 仮に 「岩国21世紀プロジェクト」 と名付けた、 この構想は岩国基地の沖合展開を核に、 国内外の広範な民間投資を誘発しながら地域の飛躍的発展を促すものだ。 民間投資の相乗効果が上がれば、 山口県東部のみならず広島湾岸地帯はもちろん、 西日本、 全国規模で内需を拡大し、 あらゆる分野に好影響をもたらすことになろう。 経済が低迷する日本に再び活力を呼び込むための提言でもある。 さらに沖縄の基地問題で窮地に立つ国の安全保障体制を支援することをも視野に入れるものだ。
平成9年 (1997年) 3月 岩国商工会議所参与
防長新聞社代表主幹 笹 川 徳 光

 



1.国際空港 この構想は、 現在、 進行中の滑走路沖合移設事業の規模を拡大することが大前提となる。 沖合に当初原案通り250万−350万坪 (沖合1,500−2,300m) を埋め立てることから計画はスタートする。
現行の移設事業の設計変更が不可能というなら、 平成18年度といわれる事業終了後にプロジェクト事業に着手する方法もあろう。
掲載した構想の完成予想図を見ていただきたい。 まず 2,300m 沖合まで埋め立て、 約350万坪 (約1,166ha) の用地を確保、 4,000m級滑走路2本と3,000m級の横風用滑走路を整備する。 無論、 軍民共用空港であり、 国内最大級の国際空港として世界への玄関口となるものだ。
埋め立てに必要な事業費は約7,000億円。 さらに現基地の全施設を沖合に移転するのに約2,000億円を要する。 設計変更による損失と追加施設整備に約1,000億円を見込み、 計約1兆円が必要だ。 建設には7年間を要するだろう。

2.1兆円の事業費 建設整備資金をどう工面するか。 ここが本構想の根幹だ。 注目していただきたいのは、 現基地をすべて沖合に移した後に170万坪の国有地が丸々残ることである。 この用地に付加価値を付け、 国内外の民間企業に有効分譲または貸与することで1兆円以上の事業資金が調達可能となる。
沖合埋め立てと現基地の移設は防衛施設庁が主体となって進め、 民間空港関連施設や港湾の整備、 さらに鉄道など空港へのアクセスは運輸省、 建設省、 地方自治体、 第三セクターがそれぞれ役割を分担しながら事業化することが望ましい。
国有地が民間に分譲されて資金が得られるまでに10〜15年は掛かるだろう。 その間の建設資金は財政投融資や民間資金の暫定調達を期待したい。
成功のカギは、 投資環境の整備によって跡地の付加価値を高め、 後述する民間事業をいかにうまく軌道に乗せるかだ。

3.空港・港湾施設 米軍基地の移設面積は現行の170万坪にとどめ、 海上自衛隊基地は現在の2倍規模とし、 米軍からの借地ではなく、 独立エリアとして専用ゲートも設ける。
滑走路周辺には民間空港専用のエプロンや誘導路、 駐機場、 航空貨物ヤード、 修理工場、 ターミナルビル、 民間空港専用駐車場、 JR空港駅など民間空港関係施設を整備する。
また、 空港関連施設として運輸省主導で港湾を整備する。 これには航空貨物用に特化したコンテナ貨物ヤードや数万トン級の貨客船が接岸できるマイナス15m以上の岸壁が必要だ。
さらに懸案の産業廃棄物終末処分場、 公共下水終末処理場の整備も考えられる。

4.新都心 基地移設後の跡地活用による新都市計画の有効分譲面積は、 15万坪の公共減歩を見込み、 35万坪。
この新都心では街路樹、 公園緑地の整備率を高め、 緑豊かな都市とする。 この新都心をはさむ今津、 門前川の両サイドは 「ウォーターフロント開発エリア」 と位置づけ、 ホテル、 コンドミニアム、 マンションなどの高層建築物ゾーンとする。
さらに、 空港関連施設やテーマパーク、 スポーツ複合ゾーンのほか、 ビジネスゾーン、 業務ゾーンなどを目的別に整備する。
これらは、 現基地の地上施設移転工事期間中の約10年間で大部分を分譲したい。
プロジェクトが順当に進めば、 岩国市の人口は飛躍的に増加、 多種多様な臨空港産業が進出した新都心はもちろん、 隣接する市内外への企業進出が活発化し、 大規模な内陸工業・住宅団地開発も進むだろう。

5.巨大テーマパーク 新都心周辺には、 観光の目玉となるような施設の整備が望ましい。 例えば、 東京ディズニーランドを成功させたオリエンタルランド (株) を誘致する。 さらにベネチア文化 (イタリア) が漂うテーマパークの誘致も良いアイデアだ。 パーク中心部のキャナルに水上タクシーとしてゴンドラを走らせ、 ローマやフィレンツェ様式の美術館や劇場を配置し、 ミラノのブランド名店街を誘致してもいいだろう。
米国NASAの協力による航空宇宙博物館 (スミソニアン) の誘致、 FTZ (フリートレードゾーン)、 大規模水族館の整備なども歓迎したい。
さらに多目的ドームの建設も促したい。 千葉の 「幕張メッセ」 や横浜の 「みなと未来」 のような大規模な国際見本市会場やスポーツにも利用できる巨大メッセを整備する。 国際会議などを開催できるコンベンションホール、 大規模駐車場を造り、 グリーンベルト (騒音遮断用の防音林) には植物園を併設したい。

6.交通アクセス 各施設を結ぶ交通アクセスとして幹線道路、 モノレール、 JR用地が必要だ。
まず空港ターミナルと、 新幹線新岩国駅や山陽自動車道岩国ICの間は上下4車線の空港幹線道路を整備し、 わずか6分で結ぶ。 この幹線道は新都心、 テーマパークなどを経て今津川を渡り、 東方へ高規格の湾岸道路として延長していく。 JR空港線は、 既に建設計画がある川下駅から門前川 (空港西部) サイドの空港ターミナルビルに直結する高架鉄道を敷設。 広島駅までノンストップで時速100kmの高速列車を走らせ、 25分で結ぶ。
域内新交通システムの整備も必要だ。 これは新都心や港湾地帯、 空港ターミナル、 テーマパーク・スポーツ複合ゾーン、 国際会議場、 メッセを巡る総延長15kmのシステムとなる。

7.関連産業 米軍や自衛隊、 民間用の航空機修理や部品調達は極めて重要だ。 そのため航空関連産業の誘致が必要となる。 川下デルタ周辺地域にこうした産業の立地を促したい。
8.大観光時代 1975年に創設された世界観光機関 (WTO) によると、 21世紀初頭に 「大観光時代」 がやってくるという。 現在はアジア全体に不況色が濃いが、 アジアの潜在的成長力は失われてはいない。
1950 年当時の全世界の外国人旅行客数は 2,500 万人だったが、 1990 年には4億 5,000 万人となり、 2000年には7億5,000万人、 2010年には10億人になるとの予測もある。
こうした傾向を踏まえ、 国立民族博物館の石森秀三教授はアジア諸国の高度経済成長が継続されるなら、 2010年代にアジアで 「民族大遊動」 が生じる可能性が高いと指摘する。
そうなると、 アジアから2億人の観光客が日本に大挙押し寄せてくる可能性がある。 1994 年に346万人の外国人が日本を訪れたが、 そのうち約6割の214万人はアジアからの訪問者だった。
21世紀はアジアが大きく成長する時代だ。 アジア人口30億人の10−15%、 3−5億人が年収50−100万円を稼ぐ時代が到来した時、 豊富な歴史的遺産と美しい四季の自然を持ち、 欧米文化とアジア文化が融合する日本への来訪は繰り返し行われる。 アジアの民族大遊動、 すなわち大航空時代は必ずやって来る。
東京大学名誉教授の木村尚三郎氏は 「観光立国論」 の中で、 国を挙げて観光産業開発を行い、 産業空洞化を埋めるための大規模な雇用を誘発する必要があると提言している。 海外旅行に出掛けるアジアの人々は年々増大し、 低額なパック旅行が大衆の人気を呼ぶだろう。

9.まとめ 本構想は、 その受け皿を作るためのものでもある。 構想の実現によって岩国に訪れる内外観光客を年間1,800万人 (平成8年の来岩観光客200万人の9倍) と試算すると、 1日平均4万人が岩国国際空港に降り立つことになる。 この観光客が平均3泊すれば、 12万人分の宿泊収容施設が必要となる。 岩国の未来図が大きく開かれることになるとは、 思われないだろうか。 今こそ各界の英知を結集してその実現を目指したい。



 

更新日 98/07/20


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